実家。夜8時。夕食中。
「客?って誰?」
今夜、昔おばあさんが住んでいた家の隣のおばちゃんがおばあちゃんの命日である明日のためにわざわざ中国から来てくれた。今父ちゃんがあのおばちゃん(母ちゃんによると「たち」になる可能性がある)迎いに行っている。
ドアのベルが鳴った。
「剣ちゃん、開けてくんない。」
やっぱ母ちゃんはテレビ番組を観察中の妹のサクラより俺を命令する方が好きみたいだね。
「鍵忘れて行っちゃったのか、父ちゃん。あっ、今晩は。」
俺のこと、川崎さんが覚えていてくれたみたいけど、俺は全く忘れていた。
「剣ちゃん、ちょっと理恵花ちゃん手伝ってくれる。今あの子荷物を車から下ろしているみたいで…ったくめし食った後にしろと言ってたのに。」
理恵花って、誰?川崎さんの子供?いや、確かにおばさんの名前もう忘れていたが、幼いころの俺の記憶の中では川崎さんのとこ子供はいなかった。ま、子供やっとできたか…と言いたいところだが、何?その理恵花っていう名前の響きが、なんか凄く…
その答えを求めに行こうとした時、彼女の、小さいスーツケース引いている彼女の姿が目に入った。
理恵…ちゃん!
俺の存在を感じた理恵ちゃんはスーツケースを引くのをやめた。15年間も見られなかったその笑顔で俺を呼んだ。
「兄ちゃん?!」
彼女だ。間違いなく理恵ちゃんだ。15年前に消えてどこかで隠れてて、やっとおばあちゃんの1年目の命日の前日という今日に戻ってきてくれた。
「何やってんだ、お前ら。」
父ちゃんの声が聞こえて気が付いた。状況を見ると、俺が理恵ちゃんを抱いているのを見ると、やっぱあの子を見たら思わずあの子のところに飛んで行って抱きしめていたらしい。で、邪魔が来たから続けるのはちょっとな…
何も無いみたいに父ちゃんが残りの荷物を車から下ろした。手伝ってあげないとバカな息子に見えるから、手伝うことにした。理恵ちゃんは先に家に入って行った。
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